株主の権利には自益権と共益権があります。
自益権 | 配当金を受ける権利、剰余金や残余財産の分配を受ける権利など、株主個人の利益だけに関係する権利。 |
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共益権 | 議決権や株主代表訴訟のように、その権利の行使が株主全体の利害に影響する権利。 |
私たちがよく利用する権利は、配当金を受ける権利や議決権などになるかと思います。株主の権利として株主優待も受け取ることができますが、株主優待は法律で定められている権利ではないため、株主優待制度を導入するかどうかは各上場企業の判断に委ねられています。
自益権のひとつ。企業が上げた利益の一部が配当金として株主に還元されます。年換算で2~3%程度の配当金を受け取れるため、銀行預金よりもずっと良い利回りで資産運用することができます。企業の決算が良ければ増配もありますが、その逆に業績が悪いと減配・無配もあるので安定した業績を上げ続けている企業を選ぶのが定石です。配当金を受け取るためには、権利確定日に株主名簿へ名前が登録されていることが条件です。(後述)
共益権のひとつ。1単元株につき1つの議決権をもつ(単元株制度)。上場株式の売買には100株単位など売買単位が決まっており、この売買単位が1単元株に対応しています。
売買単位が100株と定められている株式を100株保有している場合、1単元株、つまり1つの議決権をもつ。(単元株制度)
議決権は株主総会で行使することができ、取締役の選任・解任、株式併合、配当金の支払い額など様々な決議に対して議決権の行使(賛成反対票を入れること)ができます。
企業が導入する任意の制度。上場企業3,000社の中で1,300社を超える企業が株主優待制度を導入しています。企業の製品やオルジナルグッズ、金券類、チケットなどを貰うことができます。中には5,000円のクオカード(商品券)など高価な株主優待もあるので侮れない。株主優待も配当金と同様、権利確定日に株主名簿へ名前が登録されていることが基本条件です。(企業によっては別の日を設定している場合もある)
株主総会の決議には、普通決議・特別決議・特殊決議があり、それぞれ議案成立に必要な賛成票の割合が決まっています。
普通決議 | 議決権総数の過半数を持つ株主が出席し、その出席株主の議決権の過半数の賛成により成立。 |
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特別決議 | 議決権総数の過半数を持つ株主が出席し、その出席株主の議決権の3分の2以上の賛成により成立。 |
特殊決議 | 議決権を行使できる株主の頭数で半数以上、かつ議決権の3分の2以上の賛成により成立。 |
議案成立に必要な賛成票の割合からも分かるように、過半数の議決権を持つ筆頭株主が反対票を入れてしまえば、株主総会におけるすべての議案が成立しなくなります。発行済株式総数の50%強を保有してしまえば、拒否権を持つことと同等といえるのです。昔世間を騒がせたライブドアによるニッポン放送株買い占め事件も、拒否権を持てる過半数を目指してニッポン放送株の買占めを行った事件です。(敵対的買収)
一定割合または一定数以上の株式を保有する株主のみが行使できる権利。
株主の議題提案権、取締役・会計参与・監査役の解任を求める権利、帳簿閲覧権、会社解散請求権などがあります。
私たちが普段利用することになる上場株式の普通取引では、売買の購入日(約定日)から起算して4営業日後に株式の受渡しが行われます。株式の受渡しが完了しないと株主名簿には登録されない(株式の名義人にはならない)ため、配当金・株主優待などの受け取り権利発生にはタイムラグがあります。
権利確定日よりも3営業日前の権利付最終日に株式を購入しなければならない。配当金・株主優待を受け取る際には注意しましょう。