PERとは、株価収益率のことです。(PER:Price Earnings Ratioの略)
先に計算式を見てみましょう。
PERを算出する方法はいくつかありますが、直感的に分かりやすいのがこの計算式です。
PER(倍) = | 現在の株価 |
1株当たり当期純利益(EPS) |
PER(倍)は、現在の株価(円)÷1株当たりの当期純利益(円)で算出することができます。ちなみに1株当たりの当期純利益はEPSとも呼ばれています。
PERは主に株価の割高・割安判断に利用されます。
PERは、現在の株価が、業績に対して高く評価されているのか安く評価されているのかを判断するために利用されます。
1株当たりの利益(EPS)は毎年決算発表の時にしか公表されない固定値(のようなもの)ですが、株価は毎日取引されるので上下運動しています。それに連動してPERの値も毎日変動しています。
PERが高い状態は、1株利益に対して株価が高い状態なので割高と判断されます。反対にPERが低い状態は、1株利益に対して株価が低い状態なので割安と判断されます。
ただ、これだけでは「単に株価変動を見てれば良いじゃん?」って話になってしまうので、その会社のPER自体が高いのか低いのかの判断については、業種別平均PERと比較する必要があります。(後述)
PERを実際に計算してみましょう。
武田薬品工業の場合、子会社や関連企業などを含めた連結決算と、武田薬品工業のみの単独決算があります。試しに連本17.03の連結PER、単本17.03の単独PERを出してみましょう。
連結PER = | 6,299(円) | = 42.81(倍) |
147.15(円) |
単独PER = | 6,299(円) | = 45.40(倍) |
138.73(円) |
連結決算を発表している会社の場合、連結PERと単独PERを算出することができます。どちらを重要視するかについては人それぞれですが、一般には連結PERの方を重視します。ただ、連結PER・単独PERの両方に目を通しておいた方がよいと思います。連結PERを重視しつつも、単独PERの数値も同時に確認して総合判断するようにしましょう。
PER値は、業種ごとに平均値が異なります。
業種 | 連結PER |
---|---|
建設業 | 11.64 |
食料品 | 27.02 |
医薬品 | 24.00 |
電気機器 | 21.05 |
銀行業 | 8.58 |
全ての業種を表示すると長くなるので、幾つか選んでピックアップしています。連結PERは単純平均による計算結果です。
その会社のPERと、その会社が属している業種の平均PERとを比較することで、その会社の株価が相対的に高すぎる・安すぎる(買われ過ぎ・売られ過ぎ)といった判断を行うオシレーターに活用することができます。
ちなみに冒頭の武田薬品工業の場合、業種が医薬品に属しているので業種平均PERは24.00です。武田薬品工業の2017年03月における連結PERは42.80なので、医薬品業界全体から見て武田薬品工業の株価は割高という判断ができます。(※2017年03月の決算から見て)
GMOクリック証券の株価分析でも割高判断。
上の例では2016年度における業種別平均PERを参考値としましたが、単年度の平均PERよりも、5年間10年間の平均PERを算出する方が長期的なPER平均値を割り出せます。長期投資を考えるのであれば、1年間の平均PERではなく直近10年間程度の業種別平均PERを参考にした方が良いです。
ちなみに、日本の株式市場全体の平均PERは20(倍)程度です。(10年以上の平均値)
補足ですが、PERの計算式をいろいろ紹介します。どれも計算結果は同じになるので、覚えやすいものを1つ覚えておけば良いと思います。
PER(倍) = | 現在の株価 |
1株当たり当期純利益(EPS) |
PER(倍) = | 時価総額 |
当期純利益 |
PER(倍) = | PBR(株価純資産倍率) |
ROE(自己資本利益率) |
一般的によく用いられるのが、計算式1です。