信用取引精度を利用することで、現物取引では制限されていた様々な売買手法が可能となります。
現物取引 | 信用取引 | |
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保証金取引 | × | 最大約3.3倍まで |
売買区分 | 新規買い | 新規買い・新規売り |
売買制限 | 同銘柄を1日1回まで | 無制限 |
議決権 | あり | なし |
配当金 | あり | 売方が買方に対して配当落調整金を支払う |
株主優待 | あり | なし |
手数料 | 約定手数料のみ | 約定手数料のほか、貸付金利や貸株料など諸経費が掛かる |
信用取引では、最大約3.3倍のレバレッジを掛けて取引できるため、元手の少ない投資家でも大きな利益を狙うことができます。
また、貸株を使って「売り」から入れるようになるので、下落局面でも利益を上げることができるようになります。現物取引では買いからしか入れないため、買い有利な地合いを選んで機会を待つ必要があります。信用取引では売り参入ができるため、暴落相場で大儲けを狙うこともできます。(売買機会が増える)
また信用取引には売買制限がないため、同銘柄を1日に何度も売買できます。(現物取引には1日の売買制限がある)
信用取引のその他様々な魅力を紹介します。
長期投資目的でずっと保有している株式や、塩漬け中で何もできない株式を使って信用取引ができます。信用取引の委託保証金は原則として現金による差し入れが基本ですが、保有中の現物株式を委託保証金の代わりにすることができます。(代用有価証券)
これら保有中の株式には証券価値があるので、その価値を担保に信用取引の新規建玉を持つことができます。現物株式の場合、株式時価×80%が代用価値となります。
現物買いと信用売りを組み合わせた手法に「つなぎ売り」があります。つなぎ売りでは、同銘柄同数の株券について現物買いと信用売りを同時に行うことで、価格変動リスクを相殺して株主優待を受け取ることができます。
信用取引のデメリットについて。
信用取引は買付資金・売付株券を証券会社から借りて取引する性質上、様々な手数料が掛かります。約定手数料のほか、貸付金利、貸株料、品貸料など諸経費が掛かります。
信用売りの建玉保有中に配当金の権利付最終日を跨いだ場合、配当落調整金の支払いが発生します。配当落調整金とは、売方が買方に対して支払う調整金のことで、株式保有者が本来受け取ることのできたであろう配当金額を、売方が負担する仕組みです。制度信用取引の場合は配当金額の84.685%を、一般信用取引の場合は配当金額の100%を売方が負担します。反対に買方は、売方の支払う配当落調整金を受け取ることができます。
信用取引では、買建玉を持ったまま権利付最終日を跨いでも、株主優待を受け取ることはできません。これは買建玉の買付資金を証券会社から借りて取引していることが関係しています。(顧客は株式の名義人ではない)