東京証券取引所など日本国内の各証券所で取引されている上場銘柄は、33種類の業種に分類されています。
業種一覧(33業種) |
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水産・農林業、鉱業、建設業、食料品、繊維製品、パルプ・紙、化学、医薬品、石油・石炭製品、ゴム製品、ガラス・土石製品、鉄鋼、非鉄金属、金属製品、機械、電気機器、輸送用機器、精密機器、その他製品、電気・ガス業、陸運業、海運業、空運業、倉庫・運輸関連業、通信業、卸売業、小売業、銀行業、証券業、保険業、その他金融業、不動産業、サービス業 |
株式相場で面白いのが、景気の底打ちや天井、景気変動に対して先行する業種や遅行する業種があるということです。よく言われているのは鉄鋼・非鉄金属製品といった原材料・素材系を扱う業種が景気の底打ちに対して真っ先に反応し、それに続いて電気機器・輸送用機器など生産を担う業者の株価が上昇し始めるという流れです。
景気循環の流れにおいては、原料の調達→生産→消費という一連の流れが存在しますが、まさにこれを反映するかのように真っ先に動き出す業種が、原材料・素材系の業種なのです。(景気循環株)
また株式市場では「循環物色」という言葉が使われることがあります。循環物色とは、投資家が株価上昇局面においてどの銘柄が出遅れているのかを物色している様子を表した言葉です。
株価上昇局面では、はじめにその上昇を牽引している業種に投資資金が集まり株価を押し上げます。次にその業種に関連した業種に投資資金が集まり、その関連業種の株価を押し上げます。このように投資家がまだ株価が上がっていない関連銘柄を物色し、循環するように全体の株価が上昇していくことを循環物色と呼んでいます。
先行・遅行のイメージ。
出遅れ銘柄の探し方については、目視で株価チャートを見比べるというアナログな手法もありますが、業種別平均PERを使うやり方などもあります。
PER(株価収益率)とは、その株価が相対的に割高であるか割安であるかを判断する際に用いられる株価指標です。PERで割高・割安判断を行う場合、その銘柄の属する業種平均PERと比較することでその精度が高まります。
業種によって収益性に差があるため、PERによる割高・割安判断を行う際には「業種別平均PER」を使うのが一般的です。
業種 | 連結PER |
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建設業 | 11.64 |
食料品 | 27.02 |
医薬品 | 24.00 |
電気機器 | 21.05 |
銀行業 | 8.58 |
例えば気になっている食料品銘柄のPERが20だった場合、食料品の平均PERは上の表では27.02なので、その食料品銘柄は業種全体から見て割安と判断することができます。目視によるチャート判断も用いて総合判断することで、出遅れ銘柄を探すことができます。
1つ注意して欲しい点ですが、株価が上がらない原因は「出遅れ」だけとは限りません。例えば赤字転落や事業縮小、悪材料などによって株価が上がらないことも考えられるため、そう簡単にはいかないのが難しいところですね。決算短信や業績結果などから業績判断することも忘れずに。