会社のもつ資本(資産)の中で、返済義務のない自己資本がどの程度あるかを表したもの。要は会社が自由に動かせるお金(自己資本)がどれだけあるかを表す指標で、自己資本比率が高いほど不況に対する抵抗力が強い(体力がある)といえます。
また自己資本比率が高い=借金が少ないということなので、財務健全性が高く倒産リスクの少ない会社といえます。
自己資本には、資本金・資本剰余金・利益剰余金・自己株式などがある。
自己資本比率は、以下の計算式から算出されます。
自己資本比率(%) = | 自己資本 | × 100 |
総資本 |
自己資本比率は会社四季報や証券会社で口座開設すると簡単に確認できますが、実際に手計算してみましょう。
ちなみに貸借対照表の総資産(借方)と総資本(貸方)は同じ値になるので、総資本=総資産として計算します。
自己資本比率(%) = | 自己資本 | ×100 = | 2,014,570 | ×100 = | 46.35 (%) |
総資本(総資産) | 4,345,922 |
小数点第二位を四捨五入すると、会社四季報にある自己資本比率(46.4%)と一致します。
自己資本比率の安全な目安は各情報サイトによって異なりますが、概ね30%あれば問題ないとされます。また、40%以上あればまず倒産しないといわれているので、財務健全性を重要視するのであれば自己資本比率は40%以上は欲しいところです。
また自己資本比率は、高ければ良いという訳でもありません。資本金・利益剰余金が多いということは、自己資本を持て余していると捉えることもできます。使えるお金を設備投資に回さず、会社の私腹を蓄えている経営者は、果たして株主から見たら良い経営者といえるでしょうか?
適正な自己資本比率は、概ね40%~60%とされています。ただ銀行業のように、業種によっては自己資本比率が低くても問題ない業種もあります。
参考までに、過去に倒産した上場企業の自己資本比率をチェックしてみましょう。
年度 | 業種 | 会社名 | 自己資本比率 |
---|---|---|---|
2015年 | 空運業 | スカイマーク | 56.2% |
2015年 | 卸売業 | 江守グループホールディングス | 22.1% |
2015年 | 海運業 | 第一中央汽船 | 7.9% |
2013年 | 電気機器 | 東京カソード研究所 | 29.4% |
2013年 | 情報・通信業 | インデックス | 0.8% |
2013年 | 倉庫・運輸関連業 | ワールド・ロジ | -171.7% |
2012年 | 電気機器 | エルピーダメモリ | 32.5% |
2012年 | 電気機器 | 山水電気 | -930.8% |
2012年 | 金属製品 | サクラダ | 45.9% |
2012年 | その他金融業 | NISグループ | -34.1% |
2012年 | 卸売業 | クレスト・インベストメンツ | -13.4% |
2012年 | 電気機器 | シコー | 11.7% |
例外もありますが、倒産している会社の多くは自己資本比率が30%を切っていることが分かります。業種によっても適正な自己資本比率は異なってくるので、自己資本比率の業種別平均を知っておくとよいです。(後述)
自己資本比率は業種によって異なるので、保有している会社の自己資本比率が低いからといって直ちに慌てる必要はありません。参考までに、先述の倒産企業が属していた業種の自己資本比率一覧を紹介します。
業種 | 集計社数 | 自己資本比率 |
---|---|---|
金属製品 | 85 | 47.67% |
電気機器 | 248 | 40.03% |
海運業 | 14 | 25.32% |
空運業 | 5 | 46.25% |
倉庫・運輸関連業 | 36 | 49.75% |
情報・通信業 | 360 | 41.44% |
卸売業 | 308 | 33.13% |
その他金融業 | 29 | 7.27% |
業種 | 集計社数 | 自己資本比率 |
---|---|---|
全産業 | 3,211 | 30.99% |
製造業 | 1,428 | 44.14% |
非製造業 | 1,783 | 22.67% |
業種によって集計社数が異なるので、集計社数の少ない業種は統計的な信頼性が落ちます。(業界1位2位の数値に引っ張られる)
余談ですが、自己資本比率の逆数をとると、財務レバレッジを導き出すことができます。
財務レバレッジ(倍) = | 1 | ×100 |
自己資本比率(%) |
財務レバレッジ(倍) = | 総資本 |
自己資本 |
財務レバレッジが高い状態は、総資本に対して自己資本が小さい(=負債が大きい)状態を示しています。負債(他人資本)を有効活用して財務レバレッジを利かせた経営を行う場合、それに比例して倒産リスクが高まります。
積極的に借金して利益をガンガン上げる経営は、株主へのリターンも多くなるのでメリットも大きい。